(福島 香織:ジャーナリスト)
5月1日から施行された「宗教教職人員(聖職者)管理弁法」や9月から施行される「宗教院校管理弁法」などによって、中国の宗教管理が急激に厳しくなっている。
習近平政権は中国国内の宗教の自由を奪うだけではなく、新たな法律やガイドラインによって、聖職者や宗教施設を事実上の共産党宣伝要員や宣伝機関に作り替えようとしているようだ。
教職者を「テロリスト予備軍」扱い?
中国にはもともと、宗教が共産党の指導を受ける必要性を規定した「宗教事務条例」という厳しい法律がある。今回施行された「宗教教職人員管理弁法」は、この条例に基づき、僧侶や牧師、司祭といった宗教教職者に対する要求をまとめたものだ。2月9日に7章52条の全文が公布されると、関係者からは、共産党員以上の厳しい高いレベルの忠誠が求められている、との声が上がっていた。
たとえば総則第3条では「宗教教職者は祖国を熱愛し、中国共産党の指導を擁護し、社会主義制度を擁護し、憲法、法律、法規則を遵守し、社会主義の核心的価値を実践し、わが国の宗教独立自主自弁の原則を堅持すること。宗教の『中国化』を堅持し、国家統一、民族団結、社会の安定との和睦を堅持すること」とある。中国内の宗教は、その宗教の本来的な価値観よりも、共産党の指導する社会主義の核心的価値を実践することを強く要求されている。