建築家・隈研吾氏(写真:宮沢洋)

日本の建築史上、最もお茶の間に浸透した建築家、隈研吾氏。その人気の背景には、ビジネスにも通じるヒントがある──。書籍『隈研吾建築図鑑』を執筆した元建築雑誌記者で現在は画文家の宮沢洋氏が、「隈研吾ブレイクの理由」を5回にわたって読み解く。最終回は「繰り返しを楽しむこと」について。(JBpress)

第1回●周回遅れの逆境が隈研吾を国民的建築家に押し上げた
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65115

第2回●丹下、黒川とは全く異なる隈研吾のコスパ感覚
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65116

第3回●じわりと依頼主の信頼を得る隈研吾の高度なコミュ力
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65172

第4回●低予算でも爪痕を残す隈研吾流ゆるふわブランド術
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65173

第5回●隈研吾人気、謎を解くカギは「繰り返しを恐れない」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65174

 隈研吾氏は多くの建築家とどう違うのかを5回にわたって書いてきた。今回は最終回だ。筆者個人として一番隈氏に学んだ点を最後に残しておいたので、それについて書く。

 よく言われることわざでいえば、「継続は力なり」だ。しかし、このことわざは結果しか語っておらず、ノウハウではない。「淡々と継続できるなら誰も苦労しないよ」と突っ込みを入れたくなる。

 筆者が隈氏に学んだのは「繰り返しを楽しむ」という姿勢である。

粒子のような木組みで建物を支える

海を見下ろすカフェ「COEDA HOUSE」(記事中イラストはすべて宮沢洋、『隈研吾建築図鑑』用に作成したもの)
拡大画像表示

※ 本記事に含まれているイラストが配信先のサイトで表示されない場合は、こちらでご覧ください。https://jbpress.ismedia.jp/articles/gallery/65174?photo=2

 例えば、上の「COEDA HOUSE(コエダハウス)」。静岡県熱海市のアカオハーブ&ローズガーデン内に2017年に完成した。海を見下ろす崖地にあるカフェである。