リポーター:逮捕されるとか考えなかった?
A氏:逮捕された後も、「どうにかなるだろう」くらいの考えでした。
リポーター:刑務所に入って変わった?
A氏:最初、逮捕された時は反省しましたが、刑務所って、長く生活していたら、その生活が当たり前になるんです。「いま、どうやって楽しようか」「どうやってお金稼ごうか」ってことばっか考えるようになって、段々と被害者の名前なんかも忘れてしまう。
リポーター:反省しきれない理由は。
A氏:刑務所って悪い人の集まり。その人たちから、いい話(稼げるネタ)流れてくるんです。(一緒に生活していると)「こいつのためなら、一緒に犯罪やって、一緒に捕まってもいいかな」などと思うようになります。
なかなか更生できない負の思考回路
リポーター:刑務所から出た時、どう思った?
A氏:最初は、保護会(更生保護寮)に入った時、そこちゃんとすれば、仮釈も切れるし(満期になる)、また悪い事できるとか、考えていました。
リポーター:どんな悪い事考えた?
A氏:薬物関係ですね。これから先、カネになるなって。ずっと考えて、腹計算していました。自分は、刑務所の中では真面目にしようと考えていましたが、ナカ(刑務所内)で仲間ができて、シノギの話になるんです。周りとの関係良くするには、真面目なこと言ってられません。
とにかく、ここ出たら、いろんな人が面倒見てくれて、カネが入ってきて自由になれると思っていた。でも、実際に出たら、そうした希望は打ち砕かれました。周りが自分を理解してくれない。世間はメチャクチャ冷たいです。だから、ここの社長にも、「(刑務所に)戻った方が楽かもしれない」って話したんです。
なぜかって、(刑務所の)ナカは、みんな一緒の飯食って、一緒に笑って楽しくやってた。でも、シャバに出たら、周りに誰もいない。何かしても冷たい目で見られるし、知人も、自分が刑務所に入ったら離れていった。
世間の人は相手にしてくれない。「犯罪者やんか」って目線が常にある。これは、自分が思っていた社会とは違う。うまく生きていけないんじゃないかって、不安に駆られました。だから、ナカの生活がよほど楽に思えたんです。