(廣末登・ノンフィクション作家)
前回の記事では、若者の半グレ等の社会病理集団には誰でも巻き込まれる危険性について述べた。今回は、低年齢化しボーダレス化する非行・犯罪の社会的な原因と、その対策につき考えてみたいと思う。
「自分さえよければいい社会」が半グレを生む
筆者が見てきた半グレに共通するのは、大人の半グレにしても、少年の半グレにしても、その半数以上に家庭に何らかの事情(たとえば、両親の離婚に起因する暴力的な養父の存在や、家庭の貧困やネグレクト傾向による怠学など)がみられる。つまり、人生のスタート地点でハンデを負っている点が、筆者の聞き取りや彼らの調査票からも共通して指摘された。
かつて筆者が更生保護就労支援所長として携わった半グレ少年の過半数が、家庭に何らかの看過し難い問題を有していたし、裕福でもなかった。何より、最大の問題点として、家庭に彼らの居場所が無いことが指摘された。詳しくは、2月17日に新潮社から刊行された拙著『だからヤクザを辞められない――裏社会メルトダウン』(新潮新書)をご覧頂きたい。
犯罪は社会を映す鏡である。居場所のない子どもを生み出す社会、他者に無関心な社会の土壌に加えて、自分さえよければいい、稼いだ者勝ち、捕まらなければセーフという社会の価値観が半グレという存在を生んだのではないだろうか(NHKスペシャル取材班『半グレ――反社会勢力の実像』2020年、新潮新書)。
現在は、少年でも、うっかり銀行口座の売買やオレオレ詐欺に関与すると、自分の銀行口座が作れなくなる現実がある。加害者であり、被害者でもある少年は、SNS上の「闇バイト」などで広がり続けており、早急な対策が必要である。