日本や韓国など新型コロナウイルス用のワクチンに四苦八苦している国は多い

 厚生労働大臣がいるにもかかわらず、菅義偉首相が新たにワクチン担当大臣を指名した時点で、ワクチン接種問題は河野太郎大臣に主導権が移ったといえるだろう。

 ワクチンの取得、配分、接種など、すべての業務は一元化されなければならなかった。

 河野氏は行革担当大臣として縦割り行政の弊害や無駄を省くべく努力していた。ワクチンの入手から接種までには多くの省庁が関わり、いろんな問題が発生するであろうが、そうした諸々を氏の人気と行動力で突破することが期待されたわけである。

 この国家プロジェクトを迅速かつ整斉と完遂してこそ、明日の日本が開ける。至近では五輪の成功が期待され、その先には経済の立て直しが待ったなしである。

 そうしたことを思い浮かべていた矢先の特命大臣指名であったから、河野氏の顔がとても頼もしく思えたし、大臣のマスクに覆われた口元にも笑みがあったように見えた。

 しかしである。それから数か月が経ついま、予定通リにワクチンが入ってきそうにないことが報道され始めると、待てよ、どうなっているんだい、という懐疑に変わった。

 テレビなどで派手なマスク姿が映し出されるたびに、「マスクのファッション・ショー」ではあるまいにとネガティブ・イメージに変わった。

 ともあれ、いうまでもなく日本の接種遅れは大臣一人の責ではないが、日本人の命綱は河野大臣が握っており、「河野氏よ頑張れ!!」と、通じるはずもない「檄」を心の中で飛ばし続けている。

軽快なフットワークはどこへ

 外相時代の河野氏は軽快なフットワークで世界を駆け回り、挙句に「外相専用機」を言い出した。

 万一、導入ともなれば政府専用機同様に予算も管理運営も航空自衛隊であろうから、実質的には自衛隊の予算と人が減る形になるため否定的とならざるを得なかった。

 しかし、河野氏が対面会談の重要性を認識していた点は高く買ったものである。

 コロナ禍の今日は、首脳さえ電話会談が主体になっている。そうした中で、電話で済むことを担当相がわざわざ対面交渉にやって来たとなれば、相手企業はおろそかにはできないであろう。

 イスラエルの接種率が並外れて高いのは、ネタニヤフ首相自らが供給先の国や企業を労をいとわず何回も訪問しているからにほかならない。