(写真はイメージ)

(田丸 昇:棋士)

「羽生キラー」として名をはせる

 橋本崇載八段(38)は、竜王戦で最上位の1組に通算10期も在籍し、順位戦でも最上位のA級に昇級したことがある実力者。10年ほど前には名人時代の羽生善治九段(50)を竜王戦で連破し、「羽生キラー」として名をはせた。

 橋本は2015年(平成27)にNHK杯戦の準決勝の対局で、秒読みに追われながら指した手が「二歩」(同じ縦の筋に自分の2枚の歩を置くこと)の禁手で、反則負けを喫した。

 後日に写真誌の取材を受けた橋本は、「プロとして恥ずかしいですね。最近の座右の銘は《一手千金 二歩厳禁》です」と、苦笑しながら反省の弁を語った。しかし、その一件をきっかけにして、注目されるようになった。

金髪、高級腕時計・・・将棋界の異端児

「ハッシー」の愛称がある橋本は、棋士の中では異端児だった。金髪に染め、紫のシャツや高級腕時計を身につけるなど、派手な格好をしていた時期があった。一方で、池袋や新宿に飲みながら将棋を楽しめる「将棋バー」を開き、独自の普及活動に努めた。

 公式戦で反則負けをした後、橋本は勧誘されて芸能事務所に所属し、タレント活動を始めた。あるゲームアプリのテレビCMにも登場し、将棋盤の前に和服姿で座っておどけたアクションを見せた。