北送在日同胞だった高容姫
自由民主主義の国・日本から北朝鮮に送還され、北朝鮮で9年間の義務教育を終えた私は、金王朝の奴隷として過ごした。1971年に軍隊に徴集され、前方部隊に配置されて満6年という青春を費やした。それまで北送在日同胞に兵役はなかったが、私は「党の配慮で」朝鮮人民軍に入隊することになった。
今振り返ると、その頃は金正日氏と高容姫(コ・ヨンヒ)氏の熱愛が絶頂を極めていた時期だった。高容姫が北送在日同胞だったため、彼女の地位を高めるためだ、という話もあった。おかしなことに、義務として服務する「奴隷生活」が「配慮」だと言われ、命を捧げて忠誠を誓わなければならない。大切な自分の命が銃となり爆弾となり、「党と首領を命懸けで死守せよ」と強要されたのだ。
私は軍に入隊し、ひとりで静かに過ごす歩哨所で、後日医者になり脱北する計画を立てた。(翻訳:金光英実)
※李泰炅氏は朝鮮学校時代の同級生と再会することを切望されています。李泰炅氏と連絡を取りたい方は以下のメールアドレスまでご連絡ください。kaburi2020@icloud.com