記事はカンでは書かない

 扱う記事は、クライアント企業の商品、サービスに関わる分野だという。

「仮にお米の販売をしたい企業なら、お米のポータルサイトをつくります。炊き方から、品種ごとの味の違いや、お米の歴史、農業者のインタビューまで網羅するイメージです。

 実際の例で言えば、サッポロビールさんのメディア『ワインオープナー』です。サッポロさんはワインも販売しているので、我々がお手伝いしつつ、ワインに関するメディアを運営されています。記事はワインの注ぎ方やワインの原産国別の味の違いなどで、読者に“広告なのかな?”と感じさせてしまう要素は入れず、ワイン全般の情報を発信しています」

サッポロビールのメディア「ワインオープナー」。ターゲットは「ワインの奥深さを知りたいと考える“ワインの2年生”くらいの方たち」なのだとか

 これがビュー数増加に結びつく。検索エンジンは検索結果を表示する際、企業のホームページよりもメディアを上位に表示する傾向がある。検索エンジンのアルゴリズムが「ホームページよりメディアのほうが公益性が高い」と認識するからだ。

 例えばワイン、例えばお米など、特定の情報が集まるメディアはあまりない。読者にとっても有意義だし、これらメディアを先につくってしまえば業界を代表する企業になれる。

 記事にも一工夫を加えるという。

「“こんな話題なら読んでもらえるかなぁ”といったカンでは書きません。仮に『ワインオープナー』なら、皆さんがワインについて検索する時、どんなワードと一緒に検索しているのかを徹底的に調べます。そして“ワイン+おつまみ”や“ワイン+産地”で検索される場合が多ければ、その検索結果に表示されるように記事を書きます。簡単に言えば、読者ニーズを調べ上げた上で記事を書いているんです。

 もちろん、検索結果に表示されればいいわけではなく、読者のニーズにしっかり応えるようにします。検索した人が何を知りたいのか考え、しっかり役立つ情報を書きこむことが大切です。せっかく読んだのに知りたいことが書いていなくてガッカリすることってありませんか? そんなことにならないようタイトルや内容にこだわっています」

情報経路はプッシュからプルへ

 こうしてメディア自体の購読者を増やし、その後、伝えたい情報も加えていく。