平井卓也デジタル改革担当大臣(写真:つのだよしお/アフロ)

 今夏に開催予定の東京オリンピックにおいて、外国人の観客受け入れが断念された。その余波が思わぬところに出ている。政府が73億円をかけて開発中の「オリパラアプリ」が壮大な無駄に終わろうとしているのだ。

 厚労省が開発した接触確認アプリの「COCOA」の不具合で、政府のデジタル音痴ぶりはすでに知れ渡っているが、東京五輪で来日する選手や関係者、観客などに利用してもらう想定のもとに開発してきたオリパラアプリもまた「敗色濃厚」なのだ。

 ところが政府は開発を強行する構えで、野党議員からは「損失が膨らむばかりだ」と懸念の声が上がっている。

五輪「海外客なし」で宙に浮いたオリパラアプリ

 3月20日、東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会と政府や東京都、IOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)の5者会議で、海外からの観客の受け入れを断念することが決まった。現在のコロナ禍では、日本への自由な入国を保証することは困難として日本側からIOC、IOPに受け入れ断念を伝えたという。

 この決定を受けて宙に浮いた形となったのが、「オリパラアプリ」である。

 このアプリ、オリパラ開催時に日本にやってくる選手や関係者、観戦旅行者に対して、入国の際にダウンロードしてもらい、出国までを追跡。個々人の健康情報を把握して、感染予防の切り札とするのが目的だった。

 アプリ開発を担っているのは内閣官房の情報通信技術総合戦略室(IT総合戦略室)で、その中心となっていたのは和泉洋人首相補佐官だ。