可愛い三毛猫がいました。まだ若い女の子ですね。三毛猫は、大きな黒いサバトラ猫がぐんぐん迫ってくるのが怖かったのか、柵の上を器用に歩いて逃げていきました。サバトラ猫もこれでは追いつけません。

 その日の午後、再び三毛猫のいた場所へ向かってみると、下校途中の小学生たちにかまってもらって、ごきげんでした。朝は、登校時の子供たちを待っていたのに、サバトラ猫に邪魔されてしまったのかもしれません。

 オートバイの上には別のサバトラ猫が乗っていました。まだ若くて、さすがに朝に出会った猫のような貫禄はありませんでした。

 ここで知り合った女性が、「アムステルダムには春も秋もない。あるのは夏と冬だけ」と話したことを思い出します。「3月最後の日曜から10月最後の日曜までが、サマータイムだから“夏”。それ以外は“冬”よ。冬は真っ暗で、寒いだけ」。

 ではもう、来週から夏ですね!

 3月下旬の晴れた午後は暖かく、よく日の当たる路地の一角にある桜は、花が咲きはじめた木もありました。でも、朝は、とても寒く感じます。「う〜、さぶっ」っと、思わず首をすくめると、赤トラ猫がわたしを追い抜いて、「寒くないよ。お散歩できるくらいに暖かくなったよ」と、シッポをあげました。