(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)
故郷が突然燃えた。その煙は、思い出の場所をことごとく覆い尽くした。
栃木県足利市の両崖山山頂付近で2月21日に発生した山火事は、見る見るうちに燃え広がり、いまだ鎮火にいたっていない。避難勧告の対象は300世帯を超えた。
すでに1週間近くが経過しており、消火活動にあたっていらっしゃる消防隊や自衛隊の方々には、どう感謝してよいかわからない。近隣だけでなく、東京や神奈川からも駆けつけて下さっているという。自分の家族や地元の方々もそうだが、夜を徹して消火活動にあたっている彼らのことは、なおさら心配になる。
火災が広がった山は、標高がそれほどではないが道路が通っていない。しかも、出火元の両崖山(りょうがいさん)や、そこから飛び火して燃え広がった天狗山(てんぐやま)は、その名からわかる通り、斜面が険しい。そのため、山の中に入っての消火作業は困難なのだろう。
電話越しに聞こえていたヘリコプターの音
私は海外から様子を見ているので定かではないが、YouTubeなどで配信されたメディアの動画を見る限り、私の実家から200メートルほどのところまで火の手が近づいたようだ。