人々と甘味のつきあい方は、正しい情報によって検討されるべきである。(画像はイメージ)

(佐々 義子:NPO法人 くらしとバイオプラザ21 常務理事)

 2021年1月16~17日、大学入学共通テストが行われた。コロナ禍の中、受験生をはじめ関係者の努力が実り、大過なく実施できたことまでは誠によかった。だが、食のリスクコミュニケーションに関わってきた者としては看過できない英語の問題文があった。

 日本食品添加物協会は、1月21日に問題文に対する見解を発表している*1。以下に、英語(リーディング)第6問Bの概要を示し、このことを皆さまと一緒に考えてみたい。

問題となった文章

 第6問Bでは、2ページほどの食品添加物に関する文章が提示された後、その内容と合致している内容や語句を選択するする問題が4つ設けられている。栄養について勉強しているときの教科書に、その文章が載っていたという設定だ。

 文章の前半では、人々の甘味への関心や低カロリー甘味料の開発の歴史などを述べている。問題は後半部分にある。ここに抜粋してみたい(訳は筆者による)。

 

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(前略)

 

 甘味料を選ぶときは、健康上の問題を考慮することが重要です。たとえば、白砂糖を多く使ってデザートを作ると、高カロリーの料理になり、体重が増える可能性があります。まさにこの理由で低カロリー甘味料を好む人がいます。

 ただし、一部の研究によると、カロリーとは別に、人工低カロリー甘味料の消費と他のさまざまな健康上の懸念が関係しています。一部の低カロリー甘味料には、がんを引き起こすと疑われる強力な化学物質が含まれており、他の低カロリー甘味料は記憶や脳の発達に影響を与えることが示されているため、特に若年者、妊婦、高齢者にとって危険な場合があります。

 キシリトールやソルビトールなど、カロリーが低い比較的天然の代替甘味料もあります。残念ながら、これらは体の中を非常にゆっくりと移動するため、大量に摂取すると胃の障害を引き起こす可能性があります。

 

(後略)

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