このほかセダンの車種別販売台数では、前年に引き続き東風日産の「シルフィ」が同13.9%増の約54万台で首位となりました。毎年首位を争っている上汽大衆の「ラヴィーダ」(同8.5%減の約45万台)との差も2020年は広がっており、首位の座を盤石にしています。

追加投資に慎重な部品サプライヤー
以上のように、2020年の中国自動車市場は、コロナ禍の中で日系自動車各社が好調な業績を収めました。
しかし、自動車部品サプライヤーは、生産能力拡大に向けた設備投資に慎重な姿勢を見せています。
その理由について、あるサプライヤー関係者は「完成車メーカーからの注文は増え続けている。工場は、残業や休日出勤などで稼働時間を増やしており、春節(旧正月)中の稼働も決定済みだ」とする一方で、「コロナはまだ収束してない。設備投資に踏み切るには不確実要素が多すぎる」と述べています。
また、中国では半導体の供給不足により完成車メーカーの工場が停止するなど、サプライチェーンの混乱もみられます。こうした状況から、その関係者は「2021年も日系メーカーの好調ぶりがこのまま続くかどうかはわからない」としています。
新エネルギー車はテスラ「モデル3」がトップ
販売台数統計に話を戻すと、中国政府が普及を進めている新エネルギー車は2019年、購入補助金の一部打ち切りなどが相次ぎ、初めてマイナス成長を記録しました。しかし2020年は再びプラス成長に転換し、販売台数は前年比10.9%増の136.7万台となりました。

プラス成長に転換した理由としては、人気車種の登場が大きいと考えられます。
中でも2019年末より現地生産を開始し、販売価格が大きく引き下げられた米テスラモーターズの電気自動車(EV)「モデル3」は年間を通して好調な販売が続きました。その結果、通年の販売台数は約13.7万台となり、新エネルギー車の中で堂々のトップとなりました。
超低価格EV「宏光MINI」の登場
年初以来の好調ぶりから、今年の中国の新エネルギー車市場はテスラの独壇場になると誰もが予想していました。しかし下半期、思わぬダークホースが現れたことで、新エネルギー車市場はさらなる活況を呈しました。