その典型が、20世紀初頭における日本による朝鮮半島支配だという。朝鮮を搾取した存在として大日本帝国を糾弾するとき、必ずと言ってよいほどソル氏の語調は強まる。

 韓国の教育現場で韓国史を講じることは「正義」を講じることだと思っている教育者は多い。だから、小学校高学年から高校までの歴史教育では、往々にして偏見に満ちた歴史教育が行われる。2019年10月にはソウル市の仁憲(インホン)高校の学生が、教師から反日行為を強制されたと告発している。

 ソル氏もまた、そういう歴史教育者の1人であった。朝鮮を支配した日本を吊し上げ、そのうえで、日本支配がなければ朝鮮民族が達成しえたであろう栄華を論じるソル氏の講義を聞くことは、韓国的歴史観に染まった人には快感であったはずだ。

 ところが、そうした正義の男が、なんと、修士論文で盗用していたのだ。私もそこまでは予想していなかった。韓国の経験値がまだ足りないのだろう。

間違いだらけの歴史講義

 問題の論文は、2010年に延世大学教育大学院に提出された『韓国近現代史の教科書叙述に顕われる理念論争研究』である。韓国メディア各社によると、盗用率は52%、盗用元は2008年にある大学院生が執筆した論文と報じられている。つまり、半分以上が他人の論文からそのまま丸写しされていたり、言葉遣いだけ変えられていたのだ。