(山中俊之:神戸情報大学院大学教授/国際教養作家)
バイデン候補に期待される民主主義の再構築
12月14日、米大統領選挙の選挙人による投票でバイデン候補が過半数を獲得した。予想通りバイデン氏が次期大統領に選出される要件が満たされた。これでトランプ氏の逆転の目はほぼ絶たれたといえる。
遅きに失した感があるが、バイデン氏が勝利した州の共和党の知事も選挙人投票を妨害することはなく、何とか米国民主主義の最低限の面目は維持されたようだ。
米国の大統領選挙の仕組みは複雑で非民主的な要素が多々ある。
例えば、州ごとの集計で2州を除き選挙人総取りの仕組みであるため、総投票数が少なくても大統領に当選しうる点や、有権者でも証明書類の不備などで登録及び投票ができない人が存在するなどの点である。
バイデン氏には、就任直後に大統領選挙の仕組み自体の改革に取り組んでもらいたい。米国の民主主義の屋台骨を太くしておかないと、世界全体の民主主義の屋台骨が揺らぎかねない。
米国ファーストで国際政治経済を混乱させたトランプ大統領に代わり、国際協調路線を取ると想定されるバイデン氏への期待は高い。
バイデン氏の国際協調政策への期待は多岐にわたるが、外交政策においては、対中国と並んで注目を浴びるのが対中東外交だ。しかし、本稿で述べる通り、期待が失望になるかもしれない。