ビーガン市場を牽引するフレキシタリアン

 市場として見ても、欧米、アジアも含めたグローバルな規模で、ここ10年ほどビーガニズムは無視できないほど急成長している。最新のデータによると、2018年の世界のビーガンフード市場は142億ドル、2026年までには314億ドルの需要が見込まれている。2019年から2026年までの年平均成長率(CAGR)は10.5%という予測だ。

 しかし、実際のところ、数でいえばビーガンはまだまだマイノリティだ。例えばマーケットリサーチ会社のKanterによると、イギリスでは「ビーガン」と名乗る人たちはたったの3%程度。肉を食べる人たちが圧倒的に多数派だ。(Kanterのレポートはこちら)

 このようにビーガンが数の上ではマイノリティであるにもかかわらず、ビーガンが市場として急成長しているのはなぜだろうか。それは「フレキシタリアン」あるいは「セミ・ビーガン」と呼ばれる層が増えているからである。

 これは、例えば普段はビーガンでも人と会食する時だけは基準を緩めたり、徹底したビーガンではないができる範囲で植物性の食生活を選択したりしている人たちのことだ。先ほどのKanterの調査にもあるが、イギリスでは完全なビーガンではないが、このように肉を食べることを控えている人たちは14%ほどいる。

 また、「フレキシタリアン」や「セミ・ビーガン」とまでいかなくても、肉の消費量を週に1回だけでも減らそうという試みは世界的に広がっている。

 例えば、「月曜はお肉をやめよう」というムーブメントである「ミートフリーマンデー」は、今や世界40か国以上に広まっている。月曜日は多くの学校給食や社食のすべてのメニューから肉が消え、また家庭で実践する人たちも増えている。イギリスではビーガンフードの92%は実はビーガンでない人たちによって消費されており、ビーガン市場を牽引しているのは、実は多くのフレキシタリアンや肉の消費を抑えようという社会全体の動向なのだ。