その農家の方は、毎年一人ずつ障碍者を雇い、その方が働くための工夫を考えるようになったという。その中で生まれた工夫は、健常者の作業性も向上させるそうだ。

組織こそコミュニケーション能力を高めるべき

 昨今の日本では、コミュニケーション能力が低いとされる人物は雇われにくい。しかし、それは組織・社会自体がコミュニケーション能力を失ったためではないか。そのために多様な人材を活かす力を失い、イノベーションの芽を自ら摘んでいるのではないか。

 包摂を心がければ、自然と多様な人材・才能を活かす工夫――「できない」を「できる」に変える工夫――が必要になる。これを軽視したことが、イノベーションを日本から枯渇させた一因ではなかろうか。

 コミュニケーション能力を個人に求める時代には別れを告げ、組織自体にコミュニケーション能力を取り戻す工夫を始めてはどうだろう。人材の多様性から、なんともユニークな、そしてイノベーティブな世界が広がる可能性がある、と筆者は考えている。