群れ遊びを知らない子どもたち
ある日剣道仲間でバーベキューに行った。20人近い子どもたちにボールを1つ渡して「これでみんなで遊びなさい」と言うと、キョトンとしている。尋ねると、大人数で遊んだことがないのだという。
驚いたものの、大人も混じり、キックベースボールのルールを教えながら、みんなで一緒に遊ぶことにした。子どもたちがルールを飲み込めた頃合いで大人たちが消えると、数分で崩壊。3人ずつくらいに分かれて、バラバラに遊び始めた。道場の大人たちは驚いた。「群れ遊びの楽しさを、今の子は知らないのか」
コミュ力は属人的とは限らない
子どもが被害者となる事件が相次いだこともあって、子どもの姿が公園から消えてしまった時期があった。やがて子どもが公園に戻ってきた時には少子化もあって、もう、群れ遊びの楽しさ、ルールを工夫することの大切さを知る子どもたちはいなくなってしまった。
様々な個性を持つ子どもと、子ども同士で知恵を出して一緒に遊ぶことで、集団自体がもつコミュニケーション能力が高かった時代は終わり、コミュニケーション能力は個人にだけ問われる時代になった。集団にこそコミュニケーション能力が必要なことを、私たちは忘れてしまった。