2.ASPIの調査報告書の要旨

(1)全般

 2020年8月20日、ASPIは、『フェニックス狩-中国共産党の技術と才能の世界的な探求』と題する調査報告書を公表した。今回の調査には、米国務省が資金の一部を拠出している。

 本調査報告書は、中央組織部が実施する「人材採用プログラム(talent-recruitment programs)」と各地方政府や機関が実施する地方版「人材採用プログラム」の合計200のプログラムを付録として列挙している。

(2)中国の「人材採用プログラム」の何が問題なのか

 中国共産党(CCP)は、同プログラムを利用して、違法または不透明な手段により海外から技術を獲得している。

(中国の)公式統計によると、中国の同プログラムは、2008年から2016年の間に、約6万人の海外の専門家を採用した。

 2008年以降、米国に加えて、英国、ドイツ、シンガポール、カナダ、日本、フランス、オーストラリアのそれぞれから1000人以上の個人が採用されている可能性がある。

 これらの取り組みには透明性がなく、不正行為、知的財産窃取またはスパイ活動に広く関連しており、そして人民解放軍の近代化にも寄与している。

 同プログラムは、外国の技術と専門知識を梃子にして独自の力を構築しようとするCCPの取り組みの中核を成している。

 長期的には、海外人材の採用により、中国と米国の力のバランスが変化する可能性がある。

(3)中国の「人材採用プログラム」が懸念を惹起する理由

 他の国と同様に、中国はしばしば公正な手段と標準的な採用慣行を通じて科学者を採用している。

 また、研究協力、共同研究室、海外研修などの受け入れられたチャネルを通じて、海外から技術と専門知識を獲得ししている。ただし、公式な交流は、不正行為や違法行為を偽装する可能性がある。

 人材採用は本質的に問題ではないが、CCPの同プログラムに関連する不正行為の規模、組織、およびレベルは、他の国の同様な取り組みとは一線を画している。

 例えば、テキサスA&M大学の調査では、中国の同プログラムに関連する100人以上のスタッフが同大学内で見つかった。

 当該職員は外国からの勧誘があった場合には情報開示するように求められているにもかかわらず、5人だけがそれを開示し、その他の者は開示しなかった。

 また、同プログラムは、経済スパイを奨励し、報いるために使用されてきた。

  例えば、2013年、Zhao Huajun(赵华军)は、米国で中国のスポンサーシップに応募するために使用したとされる癌研究コンパウンドの薬瓶を盗んだ後、米国で投獄された。

 Zhao Huajunが刑務所から解放されてから1か月後、彼はQianjiangScholars(钱江学者)プログラムにより、 浙江中医薬大学に採用された。

 別のケースでは、コカ・コーラの科学者が中国企業と共謀して窃取した企業秘密に基づいて、QianjiangScholarsプログラムの資金を確保したとされる。