もちろん、それだけで黒字化が達成されたわけではない。他のスタッフによる尽力も大きい。だが、折茂の姿勢と志が共感を呼び、人々を動かした事実もまたゆるぎない。

「単なる『お金だけの関係』を越えた、本当の意味での『パートナー』になる」

 経営者として目指しているスポンサーとの在り方について、折茂はそう語る。実際、苦しい時代を支えてくれた企業との関係性を何よりも大切にしているという。

「仮に、いままで支えてくれたスポンサーの倍のお金を積まれたとする。その年は嬉しい。でも、1年でスポンサーを降りられたらどうするのか」

 お金だけの関係は弱い。思いや信頼により繋がりは強い。折茂の主張であり、モットーだ。

「きれいごとだ」と鼻で笑う人もいるかもしれない。しかしまさにその「思い」こそがコロナ禍という「未曾有の事態」の中、史上最高のスポンサー数を獲得、4期連続黒字を達成したのだ。

 この事実は「思い」や「信頼」は無形だが、確かな「資産」であることを示唆する。

 我々が直面している“新時代”を生き抜くヒントが、そこにある。