幼稚園児以下の言い争いの場に
米国時間9月29日の米大統領候補による初のテレビ討論会を一緒に見ていた知人の米主要メディアのジャーナリストは一言、「見るに堪えない。失礼する」と言って席を立った。
これはもはや討論でも何でない。子供同士の言い争い。発言というよりも罵声とヤジの応酬だ。
人が喋っている時には黙って聞く。
これは米国人ならずとも日本人でも幼稚園で最初に教え込まれるルールだろう。
それを現職大統領が90分のうち73回も破り、温厚なジョー・バイデン民主党大統領候補も「シャラップ、マン」(あんた、黙れ)と色をなした。
さすがの司会者も「双方事前合意したルールを守ってください」と再度注意したが、効果はなかった。
司会者は親トランプ派フォックスニュースの看板キャスターのクリス・ウォレス氏。
フォックスニュースでは穏健派で政治スタンスは是々非々を貫いている。
ウォレス氏は、もはや司会者ではなくプロレスのレフェリーだった。
ニューヨーク・タイムズはじめ主要メディアは、「全くの大混乱(Utter Chaos)」、「常道外れて脱線(Off the rails)」、「史上最低のアメリカン・ショー(The great American shitshow)」などと、手厳しく悲し気に報じた。
フォックスニュースなど保守派メディアは「初の直接対決で侮辱発言飛び交う。司会者は秩序を保つのに懸命」(Insults fly as Trump, Biden tussle at first showdown, moderator works to keep order)と両成敗に終始した。