2017年9月、北京の人民大会堂で習近平国家主席(右)と握手する米国のテリー・ブランスタッド駐中国大使(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 米国のテリー・ブランスタッド駐中国大使が退任する。来月初旬に帰国する予定だ。

 ブランスタッドは、4年前にトランプ大統領が当選した直後に起用が決まり、翌年6月に着任している。以来、3年以上にわたり、トランプ政権下で大使を務めていた。その退任を今月14日、駐中国米国大使館が突如発表した。

 そもそも、彼が駐中国大使に選ばれた理由は、「習近平のお友達」だから。

31歳の習近平がホームステイしたアイオワ州の知事

 中国の習近平国家主席が、かつて米国にホームステイしていたことは、以前にも書いた。

(参考記事:35年前、米国ホームステイで習近平が見たあの大河
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61340

 1985年、当時31歳で河北省正定県の書記だった習近平が、同省のトウモロコシ視察団の随行幹部として、米国で最大の穀倉地帯であるアイオワ州を訪問。州境を流れるミシシッピ川の畔のマスカティンという小さな町の子ども部屋に寝泊まりしている。

「マーク・トウェインの小説を読んで、それに憧れて、ミシシッピ川を一度は見てみたかった」

 未来の国家主席はそう語っていたと、ホストファミリーから聞いた。ミシシッピ川が舞台のマーク・トウェインの小説と言えば、『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリィ・フィンの冒険』くらいだ。

 その時のアイオワ州知事だったのが、退任の決まったブランスタッドだった。

 さらに、2012年2月、すでに翌年の国家主席就任が規定路線であった習近平は、米国を再訪。首都ワシントンDCで当時のオバマ大統領、バイデン副大統領らと会談。いわば「挨拶」「顔見せ」を済ませると、そこから次に向かったのが、アイオワ州だった。

 そこで、わざわざかつてのホームステイ先の家を訪れ、ホストファミリーと再会を果たしている。この時のアイオワ州知事もブランスタッドだったのだ。