7月17日、ジャカルタの西約20キロに位置する都市タンゲランで実施された大規模なPCR検査の様子(写真:AP/アフロ)

(PanAsiaNews:大塚智彦)

 インドネシアの新型コロナウイルス感染者がついに7月15日に8万人を超え、間もなく9万人に達する勢いを見せている。感染者増に伴い感染死者数もすでに4000人を超え(7月18日)、感染者数、感染死者数ともに東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国の中で群を抜く「トップ独走」という不名誉な状態が続いている。ちなみに感染者数が2番目に多いのはフィリピンの約6万5000人、感染死者の2番目もフィリピンの約1700人(いずれも7月18日現在)である。

 この深刻な状況に、ジョコ・ウィドド政権は効果的な感染拡大の防止策を打ち出すことができずにいる。保健当局はひたすら国民に保健衛生上の「マスク着用、手洗い励行、社会的安全間隔確保」といったルールの順守を繰り返し訴えるだけ。後は十分な検査機材、感染防護装備の中で「不眠不休の治療」を続けている医療関係者に頼るだけだ。

 もはや政府や医療機関を頼りにできない国民は、科学的根拠はないものの、伝統的な“漢方薬”などを利用した自衛策に走っている。

大臣が推奨、ウイルスを“撃退する”ユーカリの首飾り

 科学的に効果が証明されたのかどうか不明な「コロナ対策」が、いまインドネシア国民の頼みの綱になりつつある。

 例えば農業省が推奨する「ネックレス」の着用だ。

 シャフリフ・ヤシン・リンポ農業相は、7月初め農業省で開発した抗ウイルスのネックレスを8月にも販売することを明らかにした。これはユーカリの葉のエキスを原料としたネックレスで、これを首から下げていると「15分でコロナウイルスの42%が消滅し、30分で80%が死滅する。すでに実験でその効果は確認済みである」というのだ。本当なら世界的な発明になりそうだが・・・。