東京大学の赤門(撮影:川嶋諭)

 政府が新型コロナウイルス・パンデミック対策で打ったはずの、中小企業向け頓服薬「持続化給付金(https://www.jizokuka-kyufu.jp/)」事業の執行事務が、広告代理店の食い物にされていた。

 そんな疑惑が持ち上がっています。この「付け替え」再委託、何が問題なのか。そもそも公共事業が、どうして1次請け、2次請けとたらい回しにされて行くのか。

 といった問いを、東京大学教養学部で開設しているゼミナールで学生たちに振ってみました。今回はこの話題をご紹介しましょう。

 国は、総額2兆円にも及ぶ「持続化給付金」を「交付する事務仕事」は競争入札によって、報道されている「サービスデザイン推進協議会」が769億円で落札。

 このときはデロイトトーマツも参加していたそうですが、なぜかこの不思議な「幽霊社団」が仕事を咥えて行ってしまいます。

 まあ、2兆に対して770億と考えるなら、事務手数料3.85%で、そんなものかなとも思いますが、それを「協議会」は、直ちに親会社である「電通」に749億円で再委託。

 また「電通」だって、そもそもは広告代理店ですから、業務そのものを行えるわけもなく、子会社である

電通ライブ に         595.7億円
電通テック に       7.8億円
電通国際情報サービス に   19.8億円
電通デジタル に       16.3億円
電通東日本 に       5.5億円

 で直ちに「再委託」、合計金額は645億1000万円に上ります。

「協議会」から受けた金額は749億ですから、単に右から左に、しかも各社への振り分けがどう業務上妥当であるのかよく分からない形でお金を付け替えただけで、103億9000万円が中抜きされていることになる。

 いったいこれは何か、という話になる。