ただ、それでは日本の社会構造はこのままでいいのかというと、決してそうではありません。

 今回(第一波)は、おそらく「神風」もあって(強毒性がそこまで強くなかったり、あるいは、もしかすると日本人のBCG接種が効くなどして)、いわば「竹やり」だけで、凌ぐことができました。ただ、いずれ来ると言われている第二波はより強毒性が強くなる可能性もゼロではなく、そうはいかないかもしれません。

 そもそも、この20年あまりでSARSやMERSなどのコロナ型の感染症が何度となくアジアで広がっていますが、今後、より強毒性の強い感染症が襲って来たり、想像したくありませんが、生物兵器を使ったバイオテロのような事態だってないとも限りません。韓国や台湾の対応が国際的に評価され、SARSやMERSの感染拡大の際の経験が活きたとも言われていますが、今回の日本も、次に備える大きな課題が見つかったとも言えます。逆に言えば、新規の感染者数が減ってきている今こそが、本質的な備えをするチャンスなのではないでしょうか。

社会が痛感した、「緊急事態条項」を憲法に盛り込む必要性

 では今回のコロナ(第一波)によって突き付けられた日本の課題とは何でしょうか?

 1つ目の課題は、検査数と隔離施設(病院・軽症者対応施設)数の十分な担保です。不安を感じた時に、いつでも検査が受けられる態勢を整え、万が一、陽性だった場合には感染状況に応じて病院なり隔離施設に収容してもらえるような準備を早急に考えておく必要があります。

 これは後述するように経済活動を本格化させるためにも、また、コロナの第二波をはじめ、いつ、また、より強毒性の強い感染症が襲ってこないとも限りませんので、その対応のためにも必要不可欠です。

 アメリカのジョージア州では、知事が共和党ということもあり、経済活動再開に積極的でした。そこでいち早く、経済活動再開に踏み切り、様々な規制を外して、理髪店やネイルサロン、スポーツジムなども含めて営業を認めました。ところが実際に営業を再開したそうした店の数や、そこを訪れるお客さんの数は、想像していたよりもずっと少なかったそうです。

 なぜなら、お客さんだってまだ本当にコロナが終息したとは思っていないし、そもそもどんな客が来るか分からない状態では、店側だって怖くて営業再開ができません。であれば、感染リスクは極力抑えたい――そういう考えが、以前のような消費活動に戻ることを躊躇わせているというのです。

 要するに、検査がいつでも受けられ、町を普通に歩いている人は、基本的に抗体保持者か陰性の人という状況、そして、検査で陽性の人は病院や隔離施設で十分な治療を受けられるという状態にしておかないと、コロナに感染していない人も安心して従来のような経済活動を営むことができないのです。

 そして、日本にとって不気味な動きとしては、武漢の全市民にPCR検査を施すという報道もありましたが、世界各国は、「PCR検査等で陰性と認められた人」「抗体保持者」しか入国させない、という方向に動きつつあります。仮にピンピンしていて、何の自覚症状もなくても、こうした「証明書」を持っていなければ、外国に出張してビジネスをすることがやりにくくなるということです。国際ルールが、正義・正論とは別のところで決まってしまうことは良くあることであり、注意が必要です。

 逆に言うなら、コロナの新規感染者数が落ち着いてきたからといって、検査体制の整備は後回しにしてもいい、と考えるのではなく、国民が安心して生活し、経済活動を活発にするためにも、検査体制と医療側の受け入れ態勢を充実させていかなければならないのです。