ワシントンのホワイトハウスの執務室でCOVID-19への対応についてアイオワ州知事キンバリー・レイノルズ氏と会談するドナルド・トランプ米大統領(2020年5月6日、写真:ロイター/アフロ)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

「中国では新型コロナウイルスの感染が収束しつつあるようですが、このままではただじゃ終わらない。場合によったら中国が賠償金を払うことになるかもしれません」

 数十年前に中国から日本に移り住んだ李さん(仮名)は、今あることについて警戒している。それは今年11月に控える米大統領選だ。

「選挙を有利に展開しようとするトランプ大統領は、『中国ウイルス』という言葉を使って、世界の世論までを味方につけ、新たな冷戦を仕掛けようとしています」

 日頃、在米華僑や大陸の友人らから国際情勢に関する情報を手繰り寄せている李さんは、コロナ収束後には世界が一変するだろうと見ている。李さんだけではない。多くの中国人、あるいは在外華僑たちが今、固唾を飲んで米中の“ウイルス戦”の行方を見守っている。

「米国は中国以上に対処できたのか?」

 トランプ大統領による「新型コロナウイルスの感染拡大は中国に責任がある」とする主張は、米国でウイルス蔓延が深刻化するにつれて強まっていった。4月半ばを過ぎるとその主張はますますエスカレートし、「賠償責任」を求めるようになる。