株式市場も当分は不安定な状況が続くだろう(写真:AP/アフロ)

 長引く自粛と、枯渇する経営資源。新型コロナウイルスで「ヒト・モノ・カネ」の動きがストップし、その「ショック」は過去のどの経済危機よりも大きくなりかねない。こうした明日をも知れぬ状況で、リーダーたちはどう心の平静を保ち、次を見据えたのだろうか。元UBSグローバル・アセット・マネジメント社長で、グローバルリーダーを養成する人財アジア代表の岡村進氏にその体験を寄稿してもらった。

21世紀は「戦時が平時」の時代

 新型コロナウイルスの厄災は、想像以上に経済にダメージを与えることが確実となっている。経営者はしばらく続くであろうこの感染症と折り合いをつけ、それでも会社を成り立たせないとならない。今回は「コロナ・ショック」をいかに乗り切るか。危機時のリーダーに不可欠の要件とは何かを、私の過去の経験を振り返りながら考えてみたい。

 そもそも我々はリーマンショックから12年目にして大規模な経済ショックをいま目の当たりにしている。リーマンショックは1929年の大恐慌に匹敵する不況を生み出したとして「100年に一度の金融危機」と言われた。東日本大震災は869年の貞観津波になぞらえて「1000年に一度の災害」と言わしめた。新型コロナという未知の病気が蔓延したいまは、世界で5000万人が死亡した1918年のスペイン風邪を持ち出してこれもまた「100年に一度のパンデミック」と言われている。

 しかしビジネス・リーダーに確実に訪れる危機は、もう100年とか1000年とか、そんな単位で直面するわけではない。特に21世紀に入ってからは「戦時は平時」と思わせるほど、経営者にとって危機に溢れた時代だ。