そしてその時に重要なのは、とにかく問題の芽を早期にみつけて、早期に対処することです。そうしなければ、家という密室の中で、生じた問題が負のスパイラルに乗ってどんどん悪くなる、ということもありえるのです。
こういった状況を鑑みると、私が専門とする、予防医療の知見が必ず役に立つと確信しています。
「山の高さ」が変わっている!?
さて、それでは本論に入りましょう。今回は、おそらくほとんどの方が気づいていない、重要な問題について解説します。
新型コロナウイルスは、致死率こそ驚くほど高いわけではありませんが、なにより感染力が強いことが特徴です。イタリアやスペイン、アメリカで数日のうちにあっという間に患者が増えるのを、私たちは目の当たりにしてきました。
ひとたび感染爆発(オーバーシュート)を起こせば、それに応じて重症者の「絶対数」が多くなり、医療機関がパンク状態になってしまいます。いわゆる医療崩壊です。平時であれば助けられた命を、キャパシティ不足によって助けられなくなるのです。ここまではさまざまなメディアで報道されている通りです。
それを起こさないために、今私たちに求められているのは、実は「時間稼ぎ」です。
というのも、現状では新型コロナウイルスの問題をスパッと解決する特効薬がありません。未感染の人はウイルスに対する抗体を持っておらず、ウイルスが地球上から消えてなくなるわけではない以上、感染リスクは常に付きまといます。今後も一定数の患者が出てくるのは避けられないでしょう。
専門家は、「ウイルスを封じ込める」ということに関しては、今となってはもう諦めているものと思います(もともとかもしれませんが)。今後、新型コロナウイルスは、風疹や麻疹、インフルエンザウイルスのように、この世に常在して、世界のどこかで局地的な流行をもたらすウイルスになる可能性が非常に高い。