一部の香港紙などの報道によれば、空母などを建造している造船所の労働者の間でも新型コロナウイルスが広がり、海軍軍人の中にも感染して潜水艦の乗組員が隔離されているとの報道もある。

 しかし情報が正確かどうかは分からない。また、人民解放軍幹部は3月5日までに、中国国内で拡大する新型肺炎の問題に触れ、将兵の間には1人も感染者はいないと主張したと、中国国営メディアが報じている。

 しかし、韓国の国防省は3月3日、韓国軍人の感染者は確認されただけで31人と発表している。

 同国における感染者数は5300人を超え、犠牲者は32人。在韓米軍では少なくとも4人の感染が判明している(『CNN.com』2020年3月5日)。

 軍内は学校と並び、若者が多数集団で長時間濃密感染する場でもあり、スペイン風邪でも軍内に多数の犠牲者が出た。

 感染者数が5300人の韓国で、すでに31人の軍内感染者が出ているのに、感染者数が8万人を超えている中国の軍内の感染者が出ていないとの発表は信じがたい。

 中国の軍と軍需工場内に感染が拡大している可能性は十分に考えられる。

 このような今回のコロナウイルスが、中国の軍や軍需産業に与える影響についても、注目する必要があるが、共産党独裁の統制下では、その実態は容易には知られないと思われる。

 また、軍や軍需産業は完全な統制下にあり、党・軍当局としても完全な封じ込めが容易とみられ、早期の収束を図るとみられる。感染拡大があるとしても、その影響を過大に評価することはできないであろう。

 2020年2月25日の『解放軍報』には、今回のロジスティクス作戦について、全体的に称賛しつつも、改善点・問題点を指摘する記事もあらわれている。

 それによれば今後の課題は、①さらなる情報化、②戦略物資貯蔵であるという。

 解放軍は主に後方支援面で活動したが、その情報化まだ不十分だった。また、一部地区では「戦略物資の貯蔵が十分ではなく、防護服やマスク、消毒液の供給が短時間にできないか、あるいは物資が欠乏」していたと指摘されている(山口信治『NIDSコメンタリー』第112号、2020年3月13日)。

 人民解放軍の支援活動は医療面を主にした限定的なものであり、むしろ以下に述べる、対米情報戦と周辺国に対する軍事的威嚇行動にむしろ重点が置かれているとみるべきであろう。