「今われわれはパールハーバーを攻撃された瞬間と同じ状況に直面している」と発言したアダムス米公衆衛生士官部隊司令官(厚生省公衆衛生局局長)

有事に必ず出てくる日米戦争の記憶

 米国人は国家の一大事に際し、咄嗟に日米戦争の記憶を口にする。

 イスラム教過激派が2001年9月11日、米旅客機を乗っ取り、ニューヨークのワールド・トレード・センターに直撃させた米東部同時多発テロ。

 同センター現場を米国人は「グラウンド・ゼロ」と名づけた。

「グラウンド・ゼロ」というのは、米国が1945年8月6日、原子爆弾を投下した広島市の爆心地(市内相生橋の南東の島病院)のことを指すことで知られている。

 今や「姿なき敵」の猛攻にカオス化する米国。トランプ大統領は増え続ける感染者と死者にお手上げ状態だ。

 そのトランプ政権で新型コロナウイルス対策タスクフォースの責任者を務める公衆衛生行政のトップが今の現状を次のように言い放った。

「パールハーバー(奇襲)の瞬間と同じだ」

 日米関係がいかに緊密になろうと、米国人にとって日本と言えば「パールハーバー」なのだ。

 フランクリン・ルーズベルト第32代大統領(民主党)は直後の1941年12月8日、米議会で「屈辱の日だ」(Day of Infamy)と対日宣戦布告を宣言した。

「今は米国が置かれた状況はそのパールハーバーの日と同じだ」とテレビとのインタビューで発言したのは、米公衆衛生局士官部司令官*1でジェローム・アダムス公衆衛生局長(Surgeon General)。

*1=米公衆衛生局士官部隊(USPHSCC)は1798年に創設された「海上病院医療基金」がその後、改組再編されてできた陸海空軍など8つの武官組織の一つ。6500人の制服医務官からなり、24時間体制で公衆衛生監視・警戒に当たっている。司令官は通常海軍中将(Vice Admiral)の肩書が授けられる。厚生省の一部局。