4月15日投票の総選挙に与党・共に民主党から立候補している李洛淵(イ・ナギョン)前首相(写真:Lee Jae-Won/アフロ)

(李 正宣:ソウル在住ジャーナリスト)

 世界中が新型コロナイシューで覆われている中でも、韓国では4月15日に予定されている総選挙に向けた準備が着々と進められ、選挙ムードは高まってきている。

勝てば天国、負ければ地獄

 今回の選挙は、蔚山市長選挙介入疑惑や金融詐欺事件関連疑惑で検察捜査を控えている文在寅(ムン・ジェイン)政権にとって、政権の運命を決定する絶体絶命の正念場である。

 もし与党が選挙で負けて野党が過半数を獲得すれば、数々の疑惑に包まれている大統領府に対する検察の捜査に弾みがつき、文在寅大統領はいきなりレームダックに陥る可能性が高い。

 一方、与党が選挙で勝利すれば、公捜処(高位公職者不正捜査処)を利用して検察捜査を制止しようとするだろう。それさえできれば、文在寅大統領は任期後半の国政運営を安定的なものにすることができる。与党関係者たちは公然と、公捜処の捜査対象第1号として尹錫烈(ユン・ソクヨル)検察総長を名指しするほどだ。

 この絶対に負けられない選挙のために、与党は「総選挙は韓日戦」というフレームワークを必勝戦略として活用している。簡単に言えば、最大野党の未来統合党を「親日政党」と攻撃し、親日派の清算のためにも与党に投票するように国民に訴える戦略なのだ。