3月21日、韓国のソウル駅で、北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発を発射したとのニュースに見入る人々(写真:AP/アフロ)

(朴 承珉:在ソウルジャーナリスト)

「北朝鮮が4月の韓国の国会議員総選挙を『平和と戦争の対決構図』と決め付けるため、総選挙直前に制限的な軍事挑発を強行するだろう」

 韓国では現在、このように見る専門家がいる。

 北朝鮮は今年3月に入って、4回もミサイルと発射体を発射した。2日に飛翔体2発をはじめ、9日には『超大型放射砲(多連装ロケット)』を撃った。続いて21日と29日にも発射した。3月に合わせて9発発射した。

 9日の発射については、金正恩・朝鮮労働党委員長が現場で直接指導し大満足した、と朝鮮中央通信が報じた。金委員長は、「不意の軍事的な対応の打撃能力を点検する目的」と述べたという。

 これらの発射体の射程距離を見ると200~600キロで、いずれも韓国をターゲットにしている。

韓国の懸念表明に激しく噛みついた金与正氏

 青瓦台(大統領府)は3月2日、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長名義で、「北朝鮮のこのような行動は韓半島(朝鮮半島)での軍事的緊張緩和努力に役立たないもので、これを中断することを促し、強い懸念を表明した」と発表した。

 これに対し北朝鮮の金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党第1副部長が、「青瓦台の非論理的で低能な思考」「怖気づいた犬がもっと騒々しく吠える」など露骨に非難した。その後、青瓦台は北朝鮮の発射が続いても声明を出さなかった。