「このビジネスは単発でお客様を獲得する“フロー型“でなく、毎月ご料金をいただける“ストック型=サブスクリプション”モデルです。また、適切な料金をいただくモデル、とも言えます。昔は聴きたい曲があったらCDを買うしかなく、聴きたい曲以外の曲もついてきました。しかし今は、好きな曲だけダウンロードできます。当社のサービスも同じで、売れた分だけご料金をいただく形なので無駄がないのです」

 要するに、飛鳥社長にははっきり見えていたものがあったのだ。「広告」は将来、根拠がある普通の商品になる。炊飯器を売るとき、まさか「玄米も炊ける・・・と思います」とはならない。同様に広告も、炊飯器のように「こういう条件を整えればこんな結果が出せる」とデータで示し、顧客に価値を提供した分だけお金をもらうモデルになっていく。

「実際に実施してみると、多くの経営者が実は広告に口を出したいわけでなく、単純に、どれくらいのコストをかけたらリターンがいくらだったか、というシンプルな部分を求めていることがよくわかりました。広告に“根拠”があれば、経営者の方がクリエイティブに悩むこともないのです。

 しかもこうして、まだ充分に認知されていない価値ある商品を、それが必要な消費者にしっかり届くシステムがあれば、企業は商品開発に集中できます。

 しかし現状、例えば食品の分野の企業が、最近、健康分野にも進出し、社員の皆さんが我々に任せればとっくにできているPDCAを必死で回していたり・・・。率直に言って“私たちに任せて下さい”と言いたくなる事例が多いんです」

 飛鳥社長は、このシステムを越境ECとしても実現すべく、中国とタイに現地法人を設立している。さらには今後データが集まれば、ビューティ、ヘルス、食品以外の市場でも、彼の“革新”が成し遂げられる可能性がある。

ピアラの上場セレモニーのあと、起業時のメンバー4人で記念撮影。左端が代表取締役社長・飛鳥貴雄氏

 飛鳥氏とピアラが描いた事例を見ると、サブスク化、クラウド化、自動化、KPI保証型、従量制など、旧弊な業界を変革していく手法の数々が見えてくる気がしないだろうか。

 最後に飛鳥社長がこんな話をする。

「最初に3000万円ほど広告ご予算をいただけば、最適な広告をミニマムでつくれます。その利益をすぐ利益として計上するのでなく、長い目で見てさらなる広告予算にしてください。こうして雪だるま式に広告を増やしていった結果、売り上げが当初の200倍に達した事例もありますよ――」