(武藤 正敏:元在韓国特命全権大使)
文在寅政権の新型コロナウイルス対策を見ると、文在寅政権の典型的行動パターンが見事に現れている。
文大統領の内政上の最大の目標は、左派長期政権の確立だが、現在そのための最大の障害物となっているのが新型コロナウイルスだ。コロナ感染拡大は多くの人命を奪い、韓国経済を危機的状況に陥れている。しかし、国会議員選挙は4月15日に迫っており(予定どおりするかどうかは10日時点では未定)、ここで与党が国民の信を失うことは文在寅政権にとって致命傷になりかねない。
コロナ対応でも出た「お約束」のパターン
そのため文政権は、この状況を何とか乗り切ることを軸にさまざまな手を打っているのだが、現在の行動を分析すると、そこには文政権のこれまでの「お約束」のような特徴が如実にあらわれてことに気が付く。つまり次のようなパターンだ。
(1)責任転嫁:「コロナ事態は大邱事態」という主張
(2)政治的謀略:「新天地イエス教会は保守と結びついている」との批判
(3)自画自賛:文政権の対応は「地球最高の防疫」と賞賛
(4)事実歪曲:「MERSの死者は260人」という虚偽の流布
文政権は素人集団である。専門知識もなければ、行き当たりばったりの政治をしている。その結果、嘘がばれることもしばしばである。そこで姿を現すのが次に挙げる5つ目の特徴だ。
(5)混乱と狼狽:二転三転どころでないマスク対策
これら5つの特徴を踏まえ、文政権の新型コロナ対策からその政治スタイルまでを検証してみよう。
(文政権の行動パターンは、拙著『文在寅の災厄』、並びに新刊『文在寅の謀略―すべて見抜いた』<ともに悟空出版>を参照願いたい)