(李 正宣:ソウル在住ジャーナリスト)
韓国内の新型コロナウイルスによる感染者が雪だるま式に増えている。それに合わせるように、文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領も、政権発足以来、最大の危機に直面している。
韓国国会の最大野党の未来統合党の沈在哲(シム・ジェチョル)院内代表は、「4月の国会議員選挙で院内第1党になれば、文在寅大統領に対する弾劾を進める」と表明した。大統領府の掲示板では、文大統領の弾劾を求める請願に、2月28日現在で130万人を超える韓国国民が同意している。2月13日、文在寅大統領が「遠からず終息する」と断言した新型コロナが、日増しに猛威を振るい、政権を揺るがしているのだ。
大統領府の掲示板に「大統領弾劾」要求投稿
2月4日、大統領府のホームページに設けられた請願掲示板には『文在寅大統領の弾劾を要求します』というタイトルの請願文が掲載された。
「今の新型コロナウイルス事態において文在寅大統領の対処を見れば見るほど、韓国の大統領ではなく、中国の大統領のように思われます。(中国ばかり気にしている)文在寅大統領を韓国大統領だと思えなくなりました。弾劾を促します」
この請願が、多くの韓国国民の共感を呼んでいる。
なにしろ韓国では、新型コロナの発生当初から「中国からの韓国内への人的流入を禁止すべきだ」という声が世論の中に絶えず起こっていた。専門家集団の医師協会や感染学会も、中国人の入国を制限すべき、という考えを何度も示してきた。
しかし、文在寅政権は2月4日に、武漢をはじめとする湖北省からの渡航に対してのみ入国制限措置を実施するとしただけだった。文大統領の弾劾を求める請願は、まさにこの日の措置に対する不満の表れなのだ。