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 練習ではうまくできていたのに、本番ではあがってしまって失敗してしまう。そんな悩みを持つ人は多いのではないだろうか。絶対に失敗の許されない場面でパフォーマンスを最大限に発揮するためにはどうすればいいのか? “あがり”に打ち勝つための対処法を、心理学博士の外山美樹氏が伝授する。(JBpress)

(※)本稿は『実力発揮メソッド パフォーマンスの心理学』(外山美樹著、講談社選書メチエ)より一部抜粋・再編集したものです。

 私たちの心が処理することのできる資源の量には限りがあり、それを超えると(心理学では「資源が枯渇する」と表現されます)、パフォーマンスが低下します。どんなに強靱な意志の持ち主であったとしても、また、どんなに意識が高くとも、資源が枯渇してしまえば、目標を達成するために行動を起こすことはできなくなってしまうのです。

 ここで、「資源」や「枯渇」といった、わかりにくい用語が出てきましたので、車を人にたとえて説明します。

 車が目的地に到着するためには、前に進む力が必要です。そして、前に進むためには、当然ですが、エネルギー(ガソリン)が必要です。この「ガソリン」が資源に相当します。

 ガソリン(資源)がなくなったら(枯渇したら)、いくらアクセルを力強く踏んづけて、前に進もうとしても走ることはできません。新たに前に進むためには、ガソリン(資源)を補給する必要が出てきます。人間もこれと同じなのです。

二つの制御モード

 人間の行動をコントロールするシステムには、大別すると、二つの制御モードがあります。ひとつは、状況を判断しながら意識的にコントロールする意識的制御です。もうひとつは、何も意識しなくても自動的に行動をコントロールする無意識的制御です。

 私たちは、一度に多くのことを意識したり注意を向けたりすることができません。そのため、多くの部分は無意識的に制御し、必要な部分にだけ意識的制御を働かせることで、効率よく行動をコントロールしています。