そしてトイレがない。人々は搭乗の2時間前から何も飲まないように言い渡された。

 どうしても必要な場合は、大人1人がやっと入れる大きさのテントの中にバケツを置き、そこで用を足すのである。

 このような「簡易トイレ」が1機につき2つ用意された。

 軍用機は給油のため、東シベリアのウラン・ウデに立ち寄った。

 この日の気温はマイナス30度。野外テントで人々に用意されたのは冷たい紅茶と半冷凍状態のピロシキだった。

 厨房から滑走路の近くまで運ぶ間に、一瞬で冷え切ってしまったと思われる。

 実は軍用機が離陸した時点では誰も、これからどこへ飛ぶのか知らず、シベリアの冬を想定した上着を着ていなかった。

 これでは新型肺炎以前に、普通に風邪をひいてしまいそうだ。

 ともかく、チュメニに着くまで様々な困難がありながらも、人々は12時間以上の飛行を乗り切った。

 隔離施設の部屋は2人部屋。自由に廊下に出ることもできない。幸いワイファイがあるため、多くの人が暇つぶしに動画を撮ってアップしており、現地の詳細な情報を知ることができる。