日本の場合、対策本部が設置される以前の1月28日に、既に第1便のチャーター機を飛ばしている。

 ロシアの場合、自国民避難のための軍用機が武漢を飛び立ったのは2月4日深夜から5日にかけて。なんと日本に比べて1週間も退避が遅れたのである。

 日本や韓国、米国などが先を争うようにチャーターを飛ばしているのに、武漢や周辺都市に取り残されたロシア人は、自分たちがどうなってしまうのか、全く情報がないまま不安な日々を過ごした。

 とうとう軍用機での退避が決まり、2週間の隔離に同意するという条件で、第1便で80人、第2便で64人が脱出した。

 一行が向かったのはチュメニという西シベリアの町だ。

 隔離施設はチュメニ市の中心部から30キロほど離れた村にある。ここはもともと結核患者の隔離に使われていた建物で、市民と避難者が接触しないという点で最適だったため選ばれた。

 施設は2重の柵で全周を囲まれており、さらにその外周を国家親衛隊が警備するという徹底ぶりである。

 旅客機ではないので、旅の快適は一切保証されていない。機内の様子は、混雑している駅の待合室に似ている。

 新幹線のように進行方向を向いて座るのではなく、地下鉄のように横向きに木のベンチに腰かけるようになっている。

 隣同士、身体がぴったりと接しているので、もし隣の人が感染していたら確実に自分も感染しそうだ。