香港の反政府デモも、新型肺炎問題で影が薄くなっている。9000人の医療関係者が中国本土との境界を封鎖することを求めてデモをしたが、香港政府は応じようとしていない。ここでもまた、保健衛生よりも政治を優先する中国の姿勢が見え隠れする。

 4月には、習近平の国賓としての訪日が予定されている。桜の咲く頃というから、1〜2カ月先のことである。それまでに、新型肺炎が終息しているかどうか。とくに湖北省をはじめ、中国国内での感染が止まらない。国内に緊急事態を抱えたまま、外国訪問もないであろう。今のところ、安心して中国を離れることができるような状況になると考えるのは楽観的すぎる。予定の見直しが必要になる公算が大きい。

五輪開催を控え感染症対策には万全を

 新型肺炎騒動で、世界中でイベントの見直しが行われている。密閉空間での濃厚接触が感染を広めるからである。今年の最大のイベントと言えば、東京オリンピック・パラリンピックであるが、準備にも様々な支障を来し始めている。

 地球温暖化の影響で、高温多湿な東京の夏に開催することが問題になり、マラソンと競歩は開催地が札幌に移された。感染症については、私が都知事のとき東京でデング熱感染者が見つかり、代々木公園の消毒などに追われた。この夏には世界中から雑多な人が集まるので、様々な感染症に日本が襲われる可能性を念頭に準備しなければならない。

 新型肺炎のコロナウイルスは、酷暑には弱いはずで、遅くとも5〜6月頃には勢いがなくなると予想されるが、それでもオリンピック・パラリンピックの準備が遅れる可能性はある。大会組織委員会も、新型肺炎対策本部を立ち上げたところである。来月には聖火リレーも始まる。まさに綱渡りの開催となる。

 感染症以外にも、サイバーテロなど多くの障害をクリアせねばならない。またドーピングによるロシアの出場停止なども、スポーツの祭典の喜びを半減させている。最後まで気の抜けない準備となろう。

 大型客船でのクルーズが人気であったが、今回の騒ぎでしばらくは人々が敬遠するであろう。そのような事態は、他の分野にも広範に起こっていく。その間、企業などには深刻な打撃となる。新型肺炎は、人類に想定外の大きな被害をもたらしつつある。財政支援を惜しまずに、人類の生き残りのために政治のリーダーシップが必要である。