「やねだん精神」で子育て王国を目指す山形・最上町

 山形県最上町の町長の高橋重美も塾生として入った。高橋は2015年春、保育料の完全無料化を実現した。豪雪期が過ぎた3月中旬から、道路の雪を町民の協力で処分し、年間の排雪費の縮減に努めた。

 少しでも、町のお金を浮かせて、保育料に充てる。そんな意識づくりを住民の間に浸透させた。

「町全体が隣の子どもを育てる意気込みで、『子育て王国』にしたい。子どもの成長は学校だけでなく、地域も大切だ。地域のみんなが子どもたちを小さい時から可愛がるのが大事だ。子どもたちが大いに勉強して、いずれは最上町に戻ってきてほしい」

「子育て王国」という明確なビジョンは「やねだん」精神が原点だという。

 高橋は「街づくりの主役は、行政でなく、町民だ。町民が誇りをもってこそ、地域は再生する。『ないもの』ではなく、『あるもの』を生かして頑張りたい。みんなが頑張る『全員野球』の精神を〈やねだん〉から学んだ」と話す。

 その後、町の職員を送り込んでいる。今回の塾生たちは、故郷創世塾を終えた後、地域に戻って、地域の再生に汗を流す。

 豊重が汗だくで人材育成に熱中している。その思いが火種となって、全国に伝播しつつある。「やねだん」DNAが広まることこそが、借金まみれなのに痛みを先送りしている、日本を変える近道だと私は考える。