自衛隊は国家の安全と国民の幸せを守る最後の砦として存在するもので、隊員は「わが身の危険を顧みず・・・」と宣誓して入隊し、仮想敵(近年は目に見えないサイバー攻撃や電子戦などにも拡大)を想定して、死に物狂いの訓練を行っている唯一無比の組織である。
TPO次第では国家・国民を守るために自分の命を捧げますというのである。
その任に当たるのは、モナコやバチカン市国など人口数万や特殊な国以外のすべての国が保有する軍隊である。
国家存立の基底として、有史以来存在する軍隊は国家の基本法における優先記載事項(条項)であり、それによって地位が与えられ、隊員の名誉が保証されてきた。
逆に言えば、国家が与えるその地位と名誉が組織と組織員を鼓舞し、わが身の犠牲もいとわない強靭な精神を練り上げるのである。その意味では軍隊でない自衛隊は中途半端である。
国家の最高法規で明確な地位と名誉を与え、それを源泉として教育と訓練で心身を練磨してこそ、国家への無償の愛(愛国心)を止揚し、わが身の危険をも顧みない献身的な奉仕ができる。
航行するだけで安心・安全に寄与
かつて北方領土が日本の施政権下にあり、日本が軍事力をもっていたときの話である。
北方領土の周辺海域ではロシア(その後ソ連)の密猟などが横行していた。操業している日本漁船の妨害をし、また争いになるようなこともあったという。
当時は北方の脅威が大であったために、適宜日本の軍艦が遊弋(ゆうよく)していた。
そうした軍艦が遠方にかすかに見えただけで、ロシアの密漁船や争いを起していた船舶はスーッと去って行き、日本の漁師たちは安心して操業することができたという。