国家連合や超国家で地球平和が叫ばれることはあっても、現実は国家が最高の主権機構である。

 その存続保障の軍隊が不可欠であり、国際機構としての国際連合(国連)が機能するまでの間は、自衛権発動が認められ、交戦権を有するとしている。

 自衛隊の中東派遣に反対する野党の主張には基本的に「国家の生存と国民の安全」が抜けており、安倍憎しの裏返しで国民に「派遣される自衛隊員の安全」を訴えてお涙頂戴のゼスチャを示しているに過ぎない。

 根底に「原油の輸入=日本の存立」があると洞察するならば、「自衛隊の安全 ⇒ 派遣中止」の前に、「国家の存続・国民の安全 ⇒ 軍隊の保持 ⇒ 自主憲法の制定」があるべき主張でなければならない。

 そこまで一気にできないというならば、暫定的に自衛権としての交戦権をもつ自衛隊をはっきりと認知することが、今次中東派遣に対する野党でなければならないであろう。

 単に自衛官の身が危ないと政局に絡ませるように取り上げるのではなく、日本の存立問題として認識し、その中で派遣される自衛隊員が誇りを以って国際法に基づいて活動できる地位と名誉を与える法体制の整備をこそ、進んで政府・与党に提議すべきであろう。

自衛隊の地位と隊員の名誉が先決

 そもそも自衛隊の任務は何ぞや。

 自衛隊は創立の当初から、国家と国民の安全・安心を守るための組織であり、国家の防衛が何にも代えがたい至上の任務である。その合間で災害などに対処しているわけである。

 しかし、近年は地球温暖化の影響とみられる激甚化した災害の多発から自衛隊の災害派遣が頻繁となり、災害派遣で活躍する自衛隊の印象を強くしている。

 その結果、「自衛隊は災害対処に特化すればいい」といった世論調査結果もある。しかしこれは、本末転倒の議論であり、自衛隊の真の姿、任務が国民に理解されていないことを示している。

 地方自治体は自衛隊員の募集などで協力することになっているが、積極的に協力する姿勢を示さない地方自治体が過半であることからは、地方自治体も自衛隊の任務に対する理解が十分でないことを示している。