人民解放軍のサイバー攻撃部隊は20万人
田原 具体的にどういうことが起きるんですか。
山田 具体的な攻撃方法は、DDoS(ディードス)攻撃と呼ばれているものになると思います。これは特定の対象に向けて、世界中から自動プログラムを使って、膨大な情報を一斉に送り込むのです。それを受け取った側のシステムは負荷がかかりすぎて何も作業ができなくなります。これが自動でできるんです。それを一気に日本政府に向けてやられれば、業務に重大な支障が出ます。
田原 どこの国かはともかく、そういう攻撃は現になされているんですか。
山田 あちこちでやられています。ただ、いまは防御の方もだいぶできるようになっているので、大きな支障にならずに防げているのだと思います。
田原 どうやってやる?
山田 コンピュータには1台ごとにIPアドレスという識別番号が割り振られています。サイバー攻撃があった場合に、その攻撃がどのコンピュータからなされたものかは、瞬時に分かります。相手方のコンピュータが分かれば、すぐにそこからの情報をブロックするわけです。その番号から送られてきた情報・通信は全部弾いてしまうわけです。このブロックを、瞬時に、何万、何十万、何百万という素早さでやってしまうのです。
この方法はおカネさえかければできます。日本政府もここにはすさまじくおカネをかけています。
田原 やっているわけね。
山田 はい。ただし、攻撃してくる側はまたそのガードを超えて襲ってくるわけです。ですからいま日本のセキュリティが重視される企業では、一般向けのネットワークと、職員が職務中で使うネットワークを別々にし、後者は外部のネットワークと隔離しています。そうやって何重にも防御態勢をとっていますが、前回紹介したイランのナタンズの核燃料施設でなされた攻撃のように、職員がコンピュータウイルスに汚染されたメモリなどを接続したりすると、鉄壁の防御態勢も崩れてしまいます。