(花園 祐:中国在住ジャーナリスト)

 現在、日本のメディアに載る海外ニュースで頻繁に取り上げられる国は中国と韓国です。この2カ国のニュースの割合は圧倒的で、他の国を大きく引き離していると言ってよいでしょう。

 なぜ中国と韓国ばかりが取り上げられるのかというと、日本との距離の近さから、やはり日本人の関心が高く、ニュースとして注目されやすいのだと思われます。

 実際に筆者のこのコラムでも、中国を取り上げた記事と取り上げない記事ではページビューや読者からの反応に大きな差が出ます。「中国・韓国の記事はよく読まれる」「ページビューを稼ぎやすい」というのが、現在の日本のメディア全体の認識ではないかと思います。

 しかし中には、注目を集めようとするあまり、事実確認(ファクトチェック)が疎かな記事も見受けられます。面白おかしく報じようと意図的に事実を曲げた記事も存在するようです。

 そこで今回は中国関連の記事を例にとって、怪しい海外記事の具体例と、信頼度の見分け方について紹介したいと思います。

豪邸取り壊し記事、場所も経緯も事実と違う

 先日、筆者がある日本語ニュースサイトを眺めていたところ、中国に関する1本の記事が目にとまりました。北京市にある約1.3億元(約20億円)の豪邸が地元当局によって強制的に取り壊されたという内容の記事でした。取り壊された理由としては、持ち主が違法な薬品を売って儲け、そのお金で違法に建てた家だったから、と書かれていました。また、豪邸を取り壊された後、持ち主とその家族はビニールハウスで生活している、とも書かれていました。