イスラエル・ベツレヘムの聖誕教会の広場を歩く観光客(写真:ロイター/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所 上席研究員)

 米WTI原油先物価格はこのところ1バレル=50ドル台半ばから後半までのレンジ内で推移している。

 11月下旬から市場の関心を集めていたのは12月5日のOPEC総会だったが、OPEC加盟国と非OPEC産油国(OPECプラス)は、現在実施している協調減産(日量120万バレル)の幅を日量170万バレルに拡大する決定を行う見込みである(期限は2020年3月まで)。

 OPECは「来年上期に供給過剰になるものの、下期の供給不足でほぼ相殺される」という自らの見通しに従って決定を下したとされている。

過去最高を更新した米国の原油生産量

 足元の需給状況について確認してみよう。

 OPECの11月の原油生産量は、前月比11万バレル減の日量2957万バレルだった(ロイター調べ)。10月に増産したサウジアラビアなどが生産量を減少させた。

 OPECプラスの協調減産を尻目に原油生産を拡大させてきた米国の生産量は、日量1290万バレルと過去最高を更新している。だが将来の原油生産の目安となる石油掘削装置(リグ)稼働数の減少に歯止めがかからず、2017年3月以来の低水準となっている。

 シェール鉱区の大半で生産性が高まっていることなどを理由に国際エネルギー機関(IEA)は相変わらずシェールオイルについて強気の見方を崩していない。生産性については確かに2016年に急上昇したが、その後横ばいで推移している。筆者は「以前掘削したもののフラッキングなどを行っていない未完成井戸(DUC)を完成させて原油生産量を確保しているのではないか」と推測しているが、このような「自転車操業」はいつまで続くだろうか。

 次に需要サイドだが、世界最大の原油輸入国である中国の11月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が、拡大・縮小の目安となる50を7カ月ぶりに上回ったことを市場は好感している。

 米国の需要も相変わらず堅調である。