11月6日、決算会見に臨む孫正義氏(筆者撮影)

(大西 康之:ジャーナリスト)

 孫正義率いるソフトバンクグループ(SBG)が2019年7月〜9月決算で約7000億円という創業以来、最大の最終赤字を計上した。米シェアオフィス大手、WeWork(ウィーワーク)など「ユニコーン」と呼ばれるベンチャー企業への投資失敗が主な原因だ。

 10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)を核に「株価が上がり続けることを前提にした超拡大路線」で突っ走る孫の経営に危うさが見えてきた。

 その姿は、かつて「地価が上がり続けることを前提にした超拡大路線」で破綻したダイエーの中内㓛に重なる。孫は中内と同じ「永遠願望」に取り憑かれているのかもしれない。

「真っ赤っかの大赤字」

 11月6日、東京・箱崎のロイヤルパークホテルで開かれたSBGの決算説明会。登壇した孫は、殊勝な顔で切り出した。

「真っ赤っかの大赤字。台風というか大嵐でございます」

 赤字の原因は前年同期、3924億円の営業利益を叩き出したSVFが、一転9702億円の赤字に転落したことにある。最初に投資した時、約5兆円と見積もったウィーワークの企業価値を約8000億円に切り下げたのが響いた。今年の秋に株式を上場予定だったウィーワークは、創業者のアダム・ニューマンが個人所有する不動産を会社に貸して巨額の利益を得ていたことが発覚、上場の目論見書にも欠陥が見つかって上場見送りとなり、評価が暴落した。

 資金繰りが苦しくなったウィーワークを救済するため、SBGは1兆円規模の金融支援を余儀なくされた。