これに対してフランスは所得代替率が60%以上もあり、給付水準という点ではドイツよりもはるかに手厚い。しかし、保険料率はかなり高く、現役時代の負担は大きいと考えた方がよいだろう。

日本は「死ぬまで働く」ことが前提?

 日本は各項目の点数が低く、残念ながらDにカテゴライズされた。特に点数が低かったのが持続性の項目だ。

 日本は諸外国と比較して、人口減少や高齢化が進んでおり、年金財政には大きな逆風が吹いている。日本と同様、各国の年金制度も税金による補填があるが、日本の政府債務は世界でも突出して高い水準にある。これらの条件を総合すると、日本の持続性が低く出てしまうのは、やむを得ないだろう。

 加えて言うと、日本は年金の所得代替率が極めて低く34.6%しかない。政府は現時点における所得代替率は61.7%と説明しているが、これは専業主婦世帯を想定していることや、現役世代の収入と年金収入で異なる基準を適用するなど、諸外国とは定義が異なっている。日本の所得代替率には多くの問題があり、OECDの調査における所得代替率の方が現実に近いと思ったほうがよい。

 そもそも日本の公的年金は、家族による扶助を補完するためのものであり、高齢者が単独で生活できるよう支援する制度になっていない。

 個人単位で相応の生活を送るには、公的年金の保険料に匹敵する金額を、毎月、私的な年金や運用に充当する必要があるが、多くの人は、公的年金だけで十分と考え、個人的な資産形成をほとんど行ってこなかった。退職後、年金だけでは暮らせない人が続出していることにはこうした背景がある。

 さらに言えば、日本の賃金水準が経済の低迷から低く推移していることも影響している。

 日本の全人口に対する就業者数の比率は50%を超えており、これは先進国としては高い数値である。しかも日本の労働者の平均的な引退年齢は70歳を突破しており、これも諸外国と比較してかなり高い。ドイツは平均65歳、フランスは62歳、英国も65歳で引退している。