パソコン市場は長らく続いた景気低迷から脱却し、ようやく健全な成長が見込めると期待されていた。しかし市場調査会社の米ガートナーは先頃、その予想を下方修正した。
ガートナーのアナリストはその理由について、「アイパッドのようなタブレット端末への人気が高まっており、家庭向けノートパソコンの販売は劇的に鈍化する」と説明した。
また「かつて我々は、ノートパソコン市場が2台目以降のパソコン需要に支えられ、成長し続けると考えていた。しかし今消費者は2台目の購入を控えており、タブレットなどのパソコン代替機を1台目として導入したいと考えている」とも付け加えた。
アイパッドは異例に安く、対抗できない
もちろん台湾メーカーもこうした状況を認識しており、タブレット端末に着手している。ただ、ブルームバーグは「アイパッドは、高級パソコンメーカーとして知られるアップルの製品としては珍しく安い。他社はいまだアイパッドに対抗できる価格競争力を見いだせてない」と伝えている。
ブルームバーグの記事はもう1つ指摘している。それは、タブレットでは基本ソフト(OS)の主役がウィンドウズではないという点。メーカー各社は米グーグルが開発を主導するモバイルOS「アンドロイド(Android)」を採用して、アップルに対抗しようとしている。しかしグーグルがスマートフォン向けOSを優先して開発したため、タブレットには遅れが生じた。
グーグルとはかつてのOSメーカーとパソコンメーカーのような緊密な関係が築きにくく、タブレットの時代にはパソコン時代とは異なる戦略が求められるという。
なおガートナーの予測では、今年の世界パソコン出荷台数は前年比10.5%増で推移する見通し。しかしタブレット端末の伸び率予想は、パソコンをはるかに上回る178%。アップルが70~80%のシェアを維持すると見られている。