韓国の中央日報は「対話ムードを強調した韓国の発表とは違い、日本メディアは“安倍総理が断固たる立場を伝えた”という点に重点を置いて報道した」と評価した。

 中央日報によると、西村明宏官房副長官は記者団との質疑応答で、大統領府の発表内容を大幅に修正した。例えば、「文大統領が高官級協議を行うよう提案した」という部分は「外交当局者間の協議」で、「安倍総理が可能なすべての方法を通じて、解決策を模索するよう答えた」という部分は「従来と同様の方法」と発表しており、会談時間も、大統領府が主張した11分ではなく、「約10分」と発表した。翌日には菅義偉官房長官も、面談が友好的な雰囲気で行われたという発表について、「韓国側の説明は韓国側に聞いてほしい」と、コメントを控えている。

「11分間の歓談」をトップニュースで

 しかし、韓国側と相反する日本側の冷静な反応にもかかわらず、韓国の主要メディアは、翌日の5日にも、「11分間の歓談」を1面トップニュースで報じた。特に政権寄りのメディアの多くは社説を通じてその意味を高く評価した。

<11分間の短い会合だったが、この1年間、両国関係が悪化の一途をたどっている状況から考えると、歓談の意味は小さくない>

<韓日関係の悪化の背景に両国首脳間の不信があるうえ、同問題が首脳間の対話でなくては解決できないという点から、信頼回復の扉を開いたとも見ることができる>(以上、韓国日報の社説)

<文大統領と安倍総理が高官級協議を含め、あらゆる方法を動員した問題解決の意志を示唆しただけに、「トップダウン」方式で両国関係が改善される可能性も排除できない>

<両国は、状況悪化を阻止するための実質的な関係改善を成し遂げなければならない。また、そうしてこそ、北朝鮮のミサイル挑発と核問題に対応するためにも、来る22日が終了期限になっているGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)に対する韓国政府の再検討が行われることができる>

<日本政府も、少なくとも徴用工問題を協議する間は、韓国企業への輸出規制を取り下げなければならない>(以上、ソウル新聞の社説)