9月22日、米大統領専用機の中で担当記者たちに握手するロバート・オブライエン大統領補佐官(写真:ロイター/アフロ)

 ドナルド・トランプ大統領(以下トランプ)のホワイトハウスが変わりつつある――。

 何がどう変わりつつあるのか。時計を1カ月以上前に巻き戻すところから始めたい。

 トランプは9月10日、ツイッターで「ヒゲの補佐官」として名を馳せたジョン・ボルトン国家安全保障担当補佐官を解任した。

 同職は大統領が安全保障政策の決断を下す時に大きな影響力をもつ側近中の側近である。

 強硬派として知られたボルトン氏を政権から追いやって、後任として国務省で人質問題担当特使をしていたロバート・オブライエン氏を選んだ。

 ホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官は政治任用職ではないので、議会での承認は必要なく、トランプの一存で決まる。

 重職である同補佐官を外交に長けた連邦議員からでも、シンクタンクにいる研究者からでもなく、国務省にいる役人から選んだという点で、トランプがこれまでとは違う人事をしたことを指摘できる。

 ボルトン氏のように北朝鮮政策などで、平気で大統領に楯突き、強固な態度を崩さない人物ではなく、「大統領閣下!」と跪くことこそしないが、役人の特性とも言える上司に忠実な態度をとる高官を選択したのだ。

 オブライエン氏がブッシュ政権(共和党)とオバマ政権(民主党)の両政権で仕事をしてきた実績を見ても、ボルトン氏とは違うタイプの人物であることが分かる。